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2008年11月16日 (日)

ベルナのしっぽ

本を読まない私は、

今回も原作を知らないし、大まかなあらすじさえ知らず、

不純(?)ながら、白石美帆が主演だという事で借りて見る事にしたのです。


それと同時に、最近、私は泣かなくなっている。


最近の映画というと、『涙そうそう』とか『恋空』とか『クローズドノート』とか…

なんでも、ケータイ小説とか、新人の小説が原作だそうだが、

私には泣けなかった。

(沢尻エリカは確かに可愛い)


しか~し、よくもまぁ、こんなに簡単に主人公を死なすよなぁ・・・。こんなに不治の病が若者に蔓延したら、そりぁ世の中大騒ぎで、元気に働いていた男が、雨に打たれたくらいで肺炎で死ぬかぁ?…いくら小説だからって、短絡的だよな

と、愚痴ばかり出る。

これなら、3度も意識不明になった事のある私などは、とっくに死んでるぜ。

しかも今も、「AFP」 を飲んでいる。



こういう傾向は、若い人にとっては感動する小説であり、映画なんでしょうけど、

なんか画一的で、安易で、死を軽んじているのでは、と危惧してしまう。

宣伝に乗せられてるのかな。





※これから記す感想は、一つのコラムであり、

 その原点は、中学生の時に観た、ディズニー映画『シンデレラ』(アニメ)が根底にあります。



ベルナと言う盲導犬と、二人とも盲目である夫婦と、やがて誕生する子供の、計三人と一匹の、尊厳の物語です。


ベルナのしっぽ1

ベルナのしっぽ2

ベルナのしっぽ3

ベルナのしっぽ4


この映画で、実はとても驚いた場面がいくつもあります。

それは極くありふれた普通の場面でした。

と、言うより、誰でもたぶん毎日の暮らしの中で

必ず過ごす時間であり、場面です。


目が見えない、と言う事は、当然鏡に映る自分の姿が分かりません。

だから、寝起きのままだと、髪はボサボサ…

出掛ける時でも、上手く髪を整えられたのか分からないし、

メイクも不自由だし、服装もきちんとしているか分かりません。


この映画では、それが当たり前の様に描かれています。


出掛ける時も、髪は乱れているし、髪は自分で切るらしく

長さがちぐはぐ。

それはとても滑稽で、見窄らしくさえ見えてしまいます。

でも彼女には、それが見えません。


夫も盲目なので、分かりません。


でもこの夫婦にとっては、それが当たり前だし、

まして、二人だけで暮らしていて、

誰にも頼ろうとしません。


たぶん、盲導犬がいなければ、彼女も夫も

限られた範囲にしか出歩く事が出来ず、

閉じこもってしまうでしょう。


だけどこの夫婦は、二人だけで暮らす事を選び、

調理や洗濯、掃除、買い物など、こなす為に血の滲むような努力をして来たに違いありません。

だから二人にとって、いつもの服を来て、いつものように見えない電灯を点し、

いつものように食事をして、いつものように眠る事が、幸せなんだと思います。




でもどうしても赤ちゃんが欲しい彼女は、妊娠・出産を決意します。

ベルナにとって新しいご主人様が増えました。

ベルナは盲導犬として教えられた事を忠実にこなします。

何があっても決して吠えない。

決して咬みつかない。

彼女の目の代わりとなって、赤ちゃんを見守り続ける。



やがて試練の時が訪れます。


盲導犬がまだ世間に認知されていない頃の話なので、

子供を保育園に預けようと、彼女はベルナを連れてやって来ますが、

ことごとく入園を拒否されます。

彼女には、ベルナがいなければ、保育園への送り迎えが出来ません。


一度は諦めようとします。


しかし、誰の為でも無い、子供の為に

彼女の偏見への戦いが始まるのです…………


…………………………




生きる事は誰の為でもない、自分の為、家族の為、子供の為、愛する人の為。

ベルナの盲導犬としての尊厳を守る事が、

如いては、人間としての誇りや尊厳を守る事になる……、


そんな様に、私には思えました。




久しぶりに泣いてしまった私は、

当然ながら、そのあと、かなり凹んだ。


心が揺さぶられると、さすがに乱れが出て、結構卑屈さが出る。

甘えてるよなぁ…、と

ボソッと呟いたのでした。





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