第二章 記憶の映像化
人が見た文字や図形を、脳から読みとり、画像化する…
そんな夢のような技術が、開発された。
勿論、世界初の技術だ。
この偉業を達成したのは、(株)国際電気通信基礎技術研究所 (ATR, 京都府)と、奈良先端科学技術大学院大学等の共同グループ。
この技術を応用すると、
近い将来、睡眠中の夢や、頭の中で空想した内容などを、
映像に出来る可能性があると言う。
この夢のような技術のために開発されたのが、
脳の血流の変化を読みとる、機械的磁気共鳴画像(fMRI)という装置。
現段階では、アルファベットや図形を見せた人の脳から
読み取った情報を基に、元の文字や図形を再現する事に成功。
他の人が、後から、見た人の脳から画像として取り出し、
見る事が可能になったのだ。
実は、これは凄いことだ。
自分の脳に刻まれた、過去の記憶。それが、画像として・・・
或いは映像として取り出し、見る事が出来るようになる事を意味する。
遙か昔の断片的な…、遠に消えてしまったと思っていた記憶…
それらが、蘇るのだ。
例えば、犯罪者に襲われた被害者。
もし顔を見ていたら、モンタージュ写真より、遥かに鮮明な顔画像を取り出せる、
と言う事になるかもしれない。
過去に見た美しく、懐かしい風景…
脳に深く刻まれた、生まれた瞬間の映像…
幼い頃の、おじいちゃん、おばあちゃんの顔…
又は、憧れの人とのデート…
セピア色の油絵のように、不鮮明だった思い出の数々…
そんな記憶の断片が、映像としてよみがえる。
自分の空想した事が、画像や映像として、脳から取り出せる。
そんな夢のような事が、極く近い将来、可能となる日がやって来る。
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