エピソードⅣ 感染
1985年11月「スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説」がフジテレビで始まった。
当時、当地ではフジテレビがネットしていなかった為、この番組も見ることは出来なかった。
当然、流行った「夕焼けニャンニャン~ おニャン子クラブ」も知らなかった。
私が、院内感染したのは、翌々の1987年夏…。
胃潰瘍で入院することになった夏のことだった……
当時画期的な薬が登場した。
H2プロッカーという薬である。
今では、薬局でも売っているこの薬が、手術を回避させてくれた。
それまでは、潰瘍は即手術が常識だった。
入院した途端、夕方から、当地でも遅ればせながら「スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説」の放送が始まった。
南野陽子をこよなく好きだった私は、たった一人の友人に録画を頼んだ。
彼は、生涯唯一の友人である。
私は点滴をしながら、穏やかな入院生活を送っていた…その日までは…
~突然、発疹が発現した。
~しかも激痛、背中から肋骨に添って胸周り全体に広がった。
体調を崩し、潰瘍になり、抵抗力も落ちていたに違いない。
その時を見計らって、「帯状疱疹」に感染したのだ。
ところが、入院していた所は内科・胃腸科で、皮膚科は問題外。
私は全く効かない何かの塗り薬と、痛み止めの座薬だけを施され、
一日中痛みに顔を歪め、歯を食いしばり、呻きながら、苦しみもがいていた。
こめかみが、巨人獣によって、皮を剥ぎ取られるような激痛!!
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痛みは五日間程続き、やっと収まりかけた頃、自力で外出し、近くの皮膚科へ。
しかぁ~し時既に遅く、「帯状疱疹」は治りかけていて、何も処方してもらえなかった。
医師曰く、内科で出された塗り薬を見て、「それで十分だよ」と、女医が言った。
一応、出来る事はしたみたいだった。
所が、肋間神経を散々痛めつけた「帯状疱疹」は、
私に思いがけない身体的変化をもたらしていた…
顔に発症すれば、失明すると言われる「帯状疱疹」は、ウィルス感染による病気。
その恐さを、私はこのあと、いやと言う程味わう事になる。
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