神様の上
古来より人(日本人)は、神を崇めて来た。
穀物の豊作を神に祈り、災いを払うため神に祈り…
遙か天空の、さらにその上を見上げては、神の「目」に届くようにと…。
時は流れ、人類は月に到達した。
昔から、月には「うさぎ」がいる、と噂され、御伽噺にもなった。
かぐや姫は、月に帰った。
人類が月に足を踏み入れ、
そこは空気の無いクレーターだらけの世界だと知った。
古来、人は月の形を読み、月を神として崇めて来たが、
そこには神様は居なかった。
それでも人は、遙か頭上…銀河の星々を見上げ、
どこかにいる神様を、一人一人が思い描き、願いを込める。
在る者は、山河に。
在る者は、海に。
又在る者は、己の信じる建造物や、人間そのものに。
それでも人は、神様は天にいると信じる。
月が神様の代わりをしていた時代は、科学の進歩と共に消えた。
古来より人は、異星人が住むと信じていた星がある。
―火星である―
神秘的な色の火星は、災いをもたらす(戦争をもたらす)星として、恐れられて来た。
しかし今では、火星も月と同じように、災いの(戦争をもたらす)神などはいなかった。
2010年代後半。
NASAやロシア、欧州、日本などは共同で、
初の火星有人探査宇宙船を火星に送る計画を進行中だ。
これはSFの世界では無い。
そして人類は間もなく、火星の上に、足跡を残すことになる。
古来より、人が崇め、心の拠り所として来た星が、
またひとつ、その現実を晒す。
何故人は心の拠り所を一つずつ消して行くのだろうか?
何故、神様の上に行こうとするのか?
そして、一万年後も人は、天を仰ぎ、神様に願いを込める。
青い星は、宇宙にたった一つしかない…
その星に向かって…
「神様、願いを聞いて下さい」と。
それは遙か遠い宇宙を旅する巨大宇宙船の、ライブラリーパネルに映し出されている、
既に滅んだ神の星の、最も美しい時の姿…
その星の名は、
『地球』。
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