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2009年6月25日 (木)

フレフレ少女

新垣結衣ちゃんの「フレフレ少女」のDVDをやっと借りて見た。


この映画についての感想を探すと・・・・・

・全くひねりのない展開

・応援があまりにひどい

・演出がベタ過ぎて映画としては、力量不足

等々。

評判は今一というものばかり。


しかし彼らは何を基準にそんな評価をするのか、さっぱり分からない。

多分、己の中に、映画とはこんな物だ、という観念が既に植え付けられているのだろう。

そういう基準は誰でも持っているものだが、

何故こんなにも同じような観念に大勢の人が捕らわれているのだろうか?


確かに、もし新垣結衣ちゃんが主演でなければ見なかったかもしれないが、

この映画のストーリーに当てはまる女優が他にいるだろうか?


映画を見て、私は新垣結衣ちゃんがやっぱり一番の適役だと思う。
なにしろ私は感激してしまったのだから・・・。

この映画は、恋に臆病な女の子の映画だ。

そして大声で叫ぶのも苦手な女の子。


そういう女の子は、たぶんどこにでもいる女の子ではないだろうか・・・・




この映画はまるで、自分の高校時代を見ているかのようなトリップ感に襲われ、

とっても懐かしく、そして楽しく見ました。



さすが、大御所の松竹。

背景考証がきっちり描かれていて、違和感なく見れたし、

新垣結衣ちゃんの細い声だから、どうなるのかな?

と思いつつ見たものの、

これが全然違和感なく最後まで楽しく見てしまいました。



実は私が高校生だった頃、

この映画に登場する「不知火学園」そっくりの蛮カラ高校があったのです。

今もありますけどね。


破けてボロボロの帽子をかぶり、腰に手ぬぐいをぶら下げ、下駄を履き、

よれよれの制服姿に坊主か、チリチリ髪の応援団。

しかもこの高校の応援団の団旗は、更にやたらデかく、

どの高校からも一目置かれていました。


しかしこの蛮カラ高校は、県内の偏差値、No1の高校で、

東大進学率もNo1の進学校。


ちょっとやそっとではこの高校には入れないと言う、

超秀才ばかり・・・の。当然、応援団員も超秀才な訳です。




さて私が通っていた高校はと言うと、

男女共学なのですが、男子校舎と女子校舎、男女混合校舎と、

三つの棟に分れていて、渡り廊下で繋がっているという、

妙な学校でした。


いわゆる十字路があって、もう一本は体育館へと続く廊下。


そんな訳で、応援団には勿論女子生徒もいました。


高校総体の前になると、午後、屋上で応援団の練習があり、

生徒全員がそれぞれの棟の屋上に昇って、

発声練習でしごかれるのが習わしでした。



そして高校総体では、映画にもあった、

応援返しと言うのがあって、

各高校と、「フレーフレー◯◯高校!」と

お互いエールを交わすのですが、

これがまた長い!


殆どの高校同士でエール交換をするので、

そのたびに、あっち向いて・・・そっち向いて・・・

を繰り返したのでした。




だから「フレフレ少女」のように、女子だけの応援団もあった訳です。


新垣結衣ちゃん演じる女の子は、とても恋に臆病な生徒。

しかし野球部員に恋した事から、彼女なりの精一杯の奮闘が始まる。


応援団なら、堂々と名前を呼べる・・・なん~つ~安直な考えで、

応援団の部室の門を叩くのですが・・・




この辺から、自分の高校時代と完全にオーラップして来て、


「あったあった!」「そうだそうだ!」「うおぉ、懐かしい!」「これは回顧映画じゃないよな」

「そっくりじゃんか!」


てな具合に、映画が進む程、突っ込みの数も増えていったのです。



高校の応援団に興味が無い人も多いかもしれません。

だから、この映画に対して不満も聞こえて来ますが、

多分そういう人たちは、高校の応援団を知らない人なのかもしれません。

エール交換も当然知らないでしょう。


蛮カラ応援団もちゃんとあるし、女の子だけの応援団もあるし、男女混合の応援団だってあるのです。


鉄ゲタを履いて、カラコロ歩く応援団に、他の高校の応援団は、どんなに羨ましかった事でしょう。


女子も一緒に、白い鉢巻きをして、応援団として誇り持っていた。

当然、男子と同じ練習をこなし、団旗だって持つ。



今の人たちには絵空事のように映るかも知れないこの映画は、

実はちゃんと設定考証を十分精査した上で、映画化された事が良く分かる。



さて映画の結末はと言うと・・・


何と恋した野球部員は、転校してしまい、応援団に入った意味が無くなったかに見えたものの、

応援団を辞めず、自校の野球部員の為に応援を続ける事に。

自校の野球部が勝ち進めば、もしや対戦の時が来るかもしれない、

という何とも単純な発想ですが。


そして、おっと!

そうなりましたか・・・なるほど・・・メルヘンだね~

ノスタルジーだね~~ハッピーだね~~


そうだよ。松竹映画は寅さんの頃から、行き当たりばったりで、笑えて、しんみりして、

そんでハッピーになれる。

王道は時として、敬遠される場合があるが、

「フレフレ少女」もロマンスの王道を突進する映画になっている。




多くの人が、"王道過ぎて、つまらない"と感想吹くのは、

昨今の超刺激映画(ケータイ小説原作とか)を当たり前だと思っているからだとしたら、

本当に嘆かわしい。


寅さんも、釣りバカも、

はた又ドラマ(頭脳だけで犯人を掴まえるパターンの刑事もの)も、

突然のひらめきと推理で事件を解決する王道。

これらは全て、「刑事コロンボ」のまねで、私には新鮮味は無いのだけれど。


たまには犯人を逮捕出来ないドラマがあってもいいように思うが、

それはタブーだよね。


結末は分かっている。

内容もおおよそ想像がつく。

それでもついつい見てしまう。

それが王道ではないだろうか?


例えば、座頭一は絶対切られないとか、ゴジラは最後に必ず死ぬとか・・・いろいろ。



もし「フレフレ少女」に何らかの意外な結末(悲惨な)を求めているなら、

この映画は観るべきでは無い。




昭和のような映画だ(古くさい)。

との感想を見て、

多分この人たちは、もっともっと過激で刺激的な映画でなければ満足出来ない人たちなのだと、

哀れな気持ちになってしまった。


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