涙が出た
寂しくて、心が凍えていた。
自分でも、限界だな、と思った。
精神科診察日。
隣の診療科に、珍しく患者はまばらだった。
しかし精神科は混んでいて、
一人で1時間半も掛かる人がいて、
結局、入院することになったようだが、
なんだかんだで、2時間半待たされた。
診察室に入って、
さっそく今の気持ちを切り出した。
私の従兄弟に、二人、既に親を亡くした人がいる。
一人は、働いていて、
もう一人は、精神科に通っていて、何度も入院している。
それでも二人は、一人で暮らしている。
普段、誰の世話にもなっていない。
自分はどうか?
やがてこの家に一人になって、果たして生きてゆけるのか?
そんな思いまでして、何故生きるのか…
先生は言う。
「それはその時に考えればいい」と。
世の中の人は、死ぬ先々のことを考えながら生きている訳ではない。
それは分かる。
しかし、どうしても自分の未来は、あまりにも孤独で、
話し相手もなく、押し黙ったまま、誰とも語らず、息絶える……
そんな未来ばかり見えて仕方が無い。
何故、こんな人生になったのか?
殺したからか? いやあれは事故、よくあること。皆はそう言った。
しかしあれは私の治療ミス。殺したことに間違いはない…
病気か?1年8ヶ月の入院か?
肺水腫か、それとも何なんだ?!
そんな事を話すと、
先生は、薬を変更しましょうと言った。
2009年9月7日に発売されたばかりの新薬、
唯一の友達がいなくなって十四年。
やっぱり話せる人が欲しい。
夜はもの音一つしない部屋で、テレビも点けず、
空気の音に耳を澄ませ、淋しさにもがき、
薬のせいなのか、涙も流れず、
瞼の奥だけで、涙を流す。
されど、生きなくてはならない。
訳など分からなくても、
意味など知らなくても、
それでも、生きなければならない。
何故なら、死ぬ勇気など、微塵も有りはしないのだから…
友よ、私は、巡り遭えるだろうか?
同じ、思いを抱く友に、生きている間に、遭えるだろうか…
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