時の奇跡
身体表現性障害と言う病気には、RLSと言う厄介な神経随伴症状が出るらしい。
レストレスレッグス症候群や下肢静止不能症候群と言う、
脚に走る不快感や痛みなどの不快な異常感覚の事である。
私も、この不快な痛みに苦しめられて来た。
初めは腰からの坐骨神経痛かと思ったが、
いくら検査しても、骨にも神経にも異常が無い。
しかし日々痛みの場所が移動し、
眠ってる間に、もう片方の足で左足を擦る。
目覚めると足の甲が擦れて、皮膚が剥け、血だらけになっている。
そんな日々を過ごしていた。
神経の痛みを緩解しなければ、眠剤も効かない。
いつ来るかも分からない痛みに脅え、
眠れなくなった。
しかし鎮痛剤を毎日飲む事など出来ないし、
かと言って湿布などは気休めにしかならない。
最大の難敵は、
足に乾癬があると言うこと。
乾癬の皮膚に湿布するのは、苦痛この上ない。
軟膏を塗ると、湿布もテープも貼り付かない。
しかも湿布を取ると、
乾癬の皮膚も一緒にはがれてくる。
ジトぅッと血が滲む。
RLSに、有効な手立ては無い。
痛くなったら、ただその足をこぶしでたたく。
そうやって気を紛らす。
だが・・・
偶然、ある事に気づいた。
家庭用に市販されている低周波治療器の中に、
神経痛モードというのがある機種が出ていることを。
低周波治療と言えば、外科などでの理学療法にも利用されているが、
毎日通う事は難しいし、土・日は休みだし、
一番痛い夜に利用出来なければ意味が無い。
低周波治療器の一番強い、1100MHzで神経路を挟む。
挟む位置は、背骨の末端の神経節と、
そこから走る神経網の途中の2ヶ所。
低周波が強いと、筋肉が痙攣するので、
振動は徐々に大きくする。
これで今はどうにか眠る事が出来るようになった。
そして朝起きたら、筋肉を冷やす為に湿布をする。
この時役に立つにが、10分丈のレギンス。
女性用のM~Lサイズがちょうどいい。
粘着パッドを寝ている間でも、レギンスが押さえてくれる。
しかも乾癬悪化の要因である、下着やシーツとの摩擦から防いでもくれる。
最初はストッキングをはいていたが、
とにかく1日中はいているので、すぐにダメになる。
トレンカもいいが、ちょっと高い。
そして気づいたのがコンビニで売っていたレギンスだった。
女性用の肌着類は、私の弱い肌にぴったり。
こんな凄い物があるなんて、世の中広い・・・
ただ感心するばかり。
私は昔から足が細く、それがコンプレックスだった。
しかもペタンコ座りを小さい頃から出来たので、
男も女も、みなペタンコ座りが出来ると思っていたが、
どうやら男は、出来ない人が多いらしいと知って、驚いた。
そればかりではない。
私は、小学校の時、クラスでただ一人、垂直昇りが出来なかった。
竹の棒をするすると登るやつ。
当然、ロープ昇りも、懸垂も、全く出来なかった。
更に、へキサゴンで始まった、縄跳び・・・
これも1度も飛べない。
この情けなさから、へキサゴンを見なくなった。
こんな事もあった・・・
高校の時、長髪が禁止されていたにも関わらず、髪を伸ばし、
毎日、前髪にカールを巻いて寝て、
内側に巻髪状態で通っていた。
当時付き合っていた彼女とも、カールしたまま付き合い、
彼女の家にお邪魔した時も、
前髪カール on the 眉毛で行ったら、
彼女の父親が、
「随分前髪気にする子だねえ」と、不思議がっていた。
しかしそんな我が儘、学校が許すはずもなく、
私は呼び出され、あっ気なくバリカンで、坊主にされた。
まあ、ある程度予想はしていたので、ショックも無く、
その後も、わが道を進んだのでした。
(ロココの道は険し)
私は、病院へ行くときも、買い物に行くときも、
夏はレギンスをはき、女性用の刺繍の入った短パンをはく。
胸囲が110cmもあるので、素肌にTシャツを着ると、乳首が目立つので、
必ず女性用のタンクトップを下に着る(カップは取る)。
男物は、丈が長いので嫌い。
昔は、性同一性障害などと言う言葉が存在しなかった。
両親と、盛岡市内の産科・婦人科を回り、
女性ホルモン剤の治療を受けようと駈けずり廻ったが、
全く相手にしてもらえなかった。
私は、生まれた時から病弱だった。
もし、ペニシリンが無かったら、私は生きていない。
医学の進歩は、必ず、人類を病から救ってくれる。
しかしタイミング良く、薬や治療法があればいいが、
少しだけ早く生まれたが為に、苦痛と闘いながら命を落とした人が、
一体どれ程いるのだろうか・・・
あと少し早く、あの薬が開発されていたなら・・・
あと少し長く生きていたなら、
苦痛から解放され幸せになれたかもしれない。
ペニシリンは1942年に単離実用化に成功した。
またそれまでは手術による切除しか方法がなかった胃潰瘍だが、
1981年、ヒスタミンH2受容体拮抗薬が登場し、
点滴治療で治癒するようになった。
私が胃潰瘍で入院したとき、初の点滴薬シメチジンで手術なしで完治した。
今では、市販薬でH2ブロッカーが手軽に服用できる時代になった。
医学の進歩はすさまじい。
人間には、他の動物には無いものがある。
それは、他の人の痛みを、我が事のように思う、
と言う感情です。
痛みや苦痛があるなら、命に替えて助けたいと言う感情です。
この感情は、他のどんな動物にも無い
人間だけが持ち合わせた感情です。
今、苦しみと闘っている、あなたへ・・・
私は、医学の進歩で、これまで生かされて来ました。
これは何という奇跡なのでしょう。
少し時代が早ければ、
少し医学の進歩が遅れたら、
生きられない命でした。
信じて下さい。
人間の英知を。
明日、その奇跡が、起こるかもしれません。
だから、生きて下さい。
「時の奇跡」を信じて・・・・・・
« 気持ち悪ぅ~ | トップページ | それはこれかな・・・ »
「ペースメーカーからの声」カテゴリの記事
- 冬眠から醒めて(2018.03.01)
- 三分の二(2017.09.06)
- 今年最後の診察(2015.12.04)
- ペースメーカー外来(2015.09.11)
- 指定難病の申請を中止(2015.07.02)
最近のコメント