よしもとばなな「王国」のサボテン
よしもとばななの連作小説に「王国」というのがある。
私は讀んだ事はないが、その中に登場する主人公が、サボテン好きな『雫石』と言う名前の女の子である。
雫石は人里離れた山小屋に祖母と住んでいた。祖母は症状にあわせてお茶を配合し、病気にかかった人たちを治癒させる不思議な能力を持っていた。しかし、ある日、祖母は恋人とともに海外へ移住することになる。天涯孤独の身となり山を下りた人つき合いの苦手な雫石は、ほとんど目が見えない楓(かえで)という名の男の占い師に出会い、そのアシスタントとして生活を始める……。
よしもとばなな
王国(その2)
痛み、失われたものの影、そして魔法
この小説の中に、南アフリカ原産の観葉植物「オブツーサ」が、国内で雫石と呼ばれていることが紹介されている。
オブツーサはユリ科の多肉植物で、ラテン語で「丸味を帯びた形」という意味。肉厚の滴型の葉の先端が透き通っていて、人気の観葉植物だ。国内で雫石と呼ばれるようになったのも、この滴型の葉に由来しているという。よしもとさんの小説「王国」の主人公の女性はこの植物にちなみ「雫石」と名付けられていると言う。
実はその「オブツーサ」・・・つまり和名「雫石」というサボテンが、我が家にもあるので、早速、写真に撮って見た。
入院中の父が、観葉植物や樹が大好きで、これはご近所の「花工房らら倶楽部」で買ったもの。いつの間にやら出窓の棚に置いてあった。しかしサボテンと知らなかった…
そう言えば何年か前、アメリカの砂漠で、完全に閉鎖された空間で人間は何日生きられるか?と言う実験が行われたが、その時作られた超巨大なドームが、このサボテンと同じ、不思議な多角形の形に似ていた。何でも、もっとも水分を逃がさない構造体らしい。
このサボテンも、よく見ると、丸みを帯びた多角形にも見えるのだが。
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