精神科にて
今日、精神科の診察日だった。
そこで久しぶりに彼に会った。
知的障害の為、施設で暮らしている彼とその母親である。
これまでは同じ水曜日の同じ時間帯で隔週ごとに顔を合わせていたが、私が入院した為ずっと会えなかった。
退院後も週違いになったせいか、ずっと会っていなかった。
私がこの病院で知り合い、挨拶をするようになった唯一の親子である。彼は自分からは声を掛ける事は無く、こんにちはと言うと、はい…こんにちはと返事を返してくれる。一つの言葉を何度も声に出して言い、分からない事は何度でも聞き返す。それを何度も繰り返し学習しているようだった。だからパターンと違う事を言うと落ち着かなくなり、何度も母親に聞き返す。
ある意味でとても素直で純粋なのだ。
相手の言葉をそのまま受け入れる。とても素直で、傷つきやすい。
彼を見ていると、昔見たドラマを思い出す。
高機能自閉症の女性の実話をドラマ化した作品…。覚えているだろうか?
この病院へ通っていて、一番の顔なじみである。
担当の先生は週に二日しか診察をしない。しかも水曜日は午前のみ。金曜日の診察は予約で満杯。それ以外の日は入院患者専門で、たまに学会で休診になる事もあるが、それだけ臨床経験が豊富で、軽快した患者はセカンドを紹介される。
この病院の精神科は、基本的には他の診療科も受診している事が条件になっている。それによって無用な検査を省き、各科の処方薬をコンピュータで共有出来る仕組みになっている。
薬の重複や副作用を考慮しながら薬を出せるし、定期的な血液検査データも共有出来るので、肝機能の状態が把握出来るメリットがある。
三つの科を掛け持ちしている私にとっては、とても助かる。
ちなみに、ここの高度救命救急センターでは、救命外来と言う診察券があって、これを持っていると救急車の中から私のカルテを呼び出せる。
意識が無くても、たらい回しにされる事は無い。
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